CDOとしてのチャレンジ1年目〜First year of challenge as a CDO(Chief Design Officer).
デザイナーのロールのひとつにCDO(Cheif Design Officer)を目指す人は一定増えているだろう。しかし「どうすればCDOになれるのか？」と問われると、端的に答えられるCDOはどのくらいいるだろうか？僕は実際唸ってしまう。なぜなら今もその問いを考え、CDOの価値の輪郭を形作る毎日だから。
One of the roles of a designer is CDO (Cheif Design Officer). The number of people who aspire to become one is probably increasing. However, how many CDOs can give a simple answer to the question, “How can I become a CDO? how many CDOs can answer in a straightforward manner? I am actually in trouble. Because I still think about that question and shape the contours of CDO value every day.
(English following after Japanese)
「それでCDOがつとまりますか？」。つとまるかどうかはボードメンバーや周りの同僚が判断することだが、少なくとも僕の考えはデザインしてる時と一緒だ。デザインの完成形はデザインをし始めないと僕には見えない。それどころか、完成寸前まで見えないままなこともしばしばだ。それでも「いつかきっとたどりつくはず」の一点で、手を止めずに輪郭をたどり、あらわにしながらデザインし続け、現在CDOを名乗っている。
端的に答えられない理由は他にもある。それはCDOが経営の一員である以上、ボードメンバー構成により、期待されるふるまいも、出すべき成果も、語るべき言語も未来も異なるため、なかなかこれといった定義をすること自体が難しいからではないかと思う。
一方、難しいながらも、とある上場企業のCDOの頭の中や活動を記すことは、未来CDOを目指す人の何かしらのヒントになる可能性もあるだろう。実際僕は、日々同僚のCxOからたくさん教えてもらっているし、世の中にあるたくさんのCTO(Chief Technology Officer)の本やBlogを読み続けてきて今がある。このMediumがデザイン業界発展に少しでもつながると嬉しい。
ためになった本
・デザインとは何か? 経営とイノベーションの本質に迫る
・ハーバード・ビジネス・レビュー 「これからの経営者の条件」
・取締役の心得
・ハーバード・ビジネス・レビューBEST10論文―世界の経営者が愛読する
・【取締役・役員必読‼】新版 役員1年目の教科書
・ハーバード・ビジネス・レビュー 「AIリスクにどう対処するか 企業に求められる倫理と責任」
・経営者になるためのノート
・ハーバード・ビジネス・レビュー リーダーシップ論文ベスト10 リーダーシップの教科書
・文化資本の経営：これからの時代、企業と経営者が考えなければならないこと
・エンジニアのためのマネジメントキャリアパス
・よくわかるACT（アクセプタンス&コミットメント・セラピー）
・無（最高の状態）
・自由への旅: 「マインドフルネス瞑想」実践講義
ためになったBlog
・CTO（Chief Technology Officer）はアカデミックにおいてどのように議論されているのか？
・DMM Tech Vision — Speaker Deck
・開発生産性について議論する前に知っておきたいこと
・ZOZOのテックカンパニーへの変遷、CTOとしての取り組みを振り返る
・CTO室はじめました 〜新設CTO室が1年目にやったことと課題
・人生のポートフォリオには「３つのサイクルがある」エンジニアの投資家的キャリア思考
・開発者体験向上に企業がファーストステップを踏み出すためにできること
・「テクノロジーは経営戦略」元楽天・安武氏が語る、CEOとCTOの理想の関係
・CTOとしての技術選定、人材採用、育成の考え方
活動
僕のジョブタイトルは、経営メンバーとしての執行役員 CDOと、デザイン組織長としてのデザイン本部本部長である。本部長時代から意識してやり続けていること、CDOとしてより意識するようになったことを書く。
弊社は全社で本部制を取り入れている。まずはデザイン本部長として、期初の目標や予算を作るところから書く。
経営戦略や中期経営計画をふまえ、デザイン組織の活動の未来を見据えながら、デザイン組織の戦略(どのフィールドで戦うか)を考える。デザイン組織の目標を定め、達成のためどのような戦術(ヒト・モノ・カネ) で行くのかを組み立てていく。
次に、戦術の進捗を定性指標/定量指標でどう測るか考える。良い歩みを進めるとどうなるのか、あるいはうまくいかないケースを想定し、どう軌道修正するのか考える。これらを行ったり来たりしながら、解像度を上げ、同時に組織の年間予算を組み立てる。
組み立てた予算を今度は投資する側の視点で見つめながら、予算額の根拠や投資すべき説得材料を集めつつ、最終的には、組織の意図が明瞭で説得力がありなおかつ達成の蓋然性が高い状態に向け精度を上げていく。そうして経営からより良いフィードバックを引き出し、強固な実行計画にする。
予算が承認され、新しい期が始まると、目標に向けデザイン組織全体がぶれることのないよう、マネジメントチーム一同でコミットしていく。コミット具合を定点観測しながらレポートしつつ、デザイン組織の活動をどう見えやすくしていくかを工夫しながら、組織からの発信が滞らない仕組みを作り強くしていく。
なお、組織開発や組織運営のマネジメント詳細は以下リンク先のメディア等にまとまっている。
7. 弊社初のCDOのタイトルをうまく活用し、外部発信やコミュニティ還元をより増やせているか
CDOになり、より意識していることは以下である。
- 経営アジェンダのキャッチアップ
経営の意思決定スピードは早い、早すぎる。そのスピードに追いつくのがやっとで、まだまだデザインの専門性でボートメンバーに対し、効果的なフィードバックをするには及ばない、道半ばであり今後も精進である。 - デザインがより早期に巻き込まれに行く活動を広げる
取得できる情報が広がり、知見のない分野がどんどん目の前に広がり続ける。やたら焦る。焦るがこれはもう地道に自分のものにしていくしかない。何かを急いで出来た試しはないのだから。くじけている場合ではないし、僕が閉じてしまっては、デザイン組織全体への悪影響にもつながるのだから、必死にしがみつき巻き込まれ活動に出向く毎日である。 - デザイン業界を中心としたどんな情報共有や考察が、ボードへの良いインプットになるか
これはなかなか難しい。「こんな情報には興味はないだろうなあ」「背景情報から話すととても長くなるなあ」などと僕自身が考え込むと、どんどん共有できることが減ってしまう。恐れずいきたいものだが、なかなか難しい笑。 - デザイン組織のどんな活動の共有が、より良いフィードバックを生むか
「デザインは定量にしにくいっす」と言い続けていても前に進まないので、どうにかこうにか定量風味にしつつレポートするようにしている。それでも定性的共有が多くなりがちだが、そこはボードメンバーも理解してくれてるように見えるし、デザインに可能性を見出したい気持ちはみんな同じはず！の気持ちで精進している。
ちなみにボードからのフィードバックを、デザインの現場に伝えるとみんな喜ぶ。よりモチベーティブになっているように見える。 - ボードメンバーとより良い関係性はどうすると築けるか
関係性についてこれまで僕はふわっとしか考えたことがなかったのだが、同僚から「関係性が減り、情報の流通量が減ると、フィードバックや質問の品質が下がる」って話を聞いてなるほど！となった。
問題が複雑化し抽象度が高い世界で、一発で何かが決定することなどまずないのだから、より良いフィードバックがもらえる関係性構築はなくてはならないものなんだなという気持ちになった。
(なったはなったけど、僕自身苦手な自己開示が突然うまくなるわけでもなく、簡単ではないのである笑）。 - 誰もがデザインを身近に感じる取り組みが出来ているか
デザインが職能を超えて従業員みんなのものになるといいなあと思い続けている。エンゲージメントを高める施策にはデザインが介在する機会を増やしたり、ものづくりカルチャーをテーマにしたショート動画を制作しSlackのCDOチャンネルの参加者数が160%増えたり等、地道な活動をし始めたところである。 - 弊社初のCDOのタイトルをうまく活用し、外部発信やコミュニティ還元をより増やせているか。
・日経デザイン
・ダイヤモンド・オンライン
・宣伝会議 ブレーン
・Web担Forumミーティング 2023 秋
・CreatorZine 4本
・cocoda虎の巻 2本
・cocoda_MIXI DESIGN 13本
・MIXI TECH DESIGN CONF 2024
・MIXI DESIGN note 13本
・大デザナレ展
・Featured Projects 2023
取材記事や寄稿記事やイベント登壇やイベント出展などを実行。 - デザイン組織の中期計画(手なりの未来ではなくどんな未来を描くか)の解像度を上げる準備
仕掛かり
やりがい
・会社の意思決定の場にいること、意思決定に影響を及ぼすことができること
・デザイナー(弊社ではデザイン職)代表として、デザインが活躍するフィールドの最前線に立ち、より広げる使命を担っていること
・ボードメンバーの生の声をデザイン組織のマネジメントチームに共有することで、経営とデザイン組織の直結につなげている実感
・前例がない場所、正解を作っていく場所に立っていること
思うこと
僕の声が以前に比べ少しづつ社内外に届きやすくなった実感がある。風向きが変わり始めているように感じる。まだ少しだけど。
一緒にやってくれる人がどんどん増えている。増えると量と質がどんどん上がる。適切なフィードバックが集まる。相談できるからより良いものになる。客観性をより持てるようになる。
これらは改めて、業界で一定注目される企業のデザイン組織だからこそでもある。デザイン組織の活動を広げてくれるDesRel(Designer Relations)や広報部があるからこそでもある。歴史や環境の上に今があることをリスペクトする機会がちょいちょいある。
ひとりでやってるわけではない。取材を受けるたびに「マネジメントチームでやってる、マネジメントチームでやってる」と言い続けている。ひとりじゃこの規模やスピードは出ない。チームからのインサイトやインプットがなければ、マネジメントの発想もたいして飛躍しないし的を得ない。
また外部の方と話していると、「うちも御社みたいなことやろうとしたんですけどね…」とよく言われる。当たり前だが何かオリジナルなスペシャルなことをしているわけではなく、地道なことをやりきる、地道なことをやり続けるが、実は簡単なことではないって話なのかもなあと思う。これも推進するマネジメントチームがいるからこそである。作るだけなら誰でもできるのだから。
弊社の執行役員は任期1年。先日の取締役会決議で再任され、執行役員 CDO の2年目が始まった。2年目はなんといってもDesign × AIだ。さまざまな試行錯誤で成果を出し続ける集団になる。
https://pdf.irpocket.com/C2121/nGVW/HEg2/eJ88.pdf
One of the roles of a designer is CDO (Cheif Design Officer). The number of people who aspire to become one is probably increasing. However, how many CDOs can give a simple answer to the question, “How can I become a CDO? how many CDOs can answer in a straightforward manner? I am actually in trouble. Because I am still thinking about the question. It is a day-to-day search for the outline.
“Is that enough to be a CDO?” I am not sure if I can work as a CDO. It is the board members and colleagues around me who will judge whether or not I can work as a CDO. But at least, this is what I think. It’s the same as when I’m designing. I can see the finished design when I start designing. Often you can’t see it until you turn the final corner. Even then, it’s a point that “I’m sure I’ll get there someday. I continue to design and now call myself CDO.
There is another reason why it is not easy to answer: the CDO is a member of management, and the expected behavior, the results to be achieved, the future to be discussed, the language to be used… all vary from company to company. It is difficult to define in general.
On the other hand, it is difficult to define, but we can supply hints by describing daily inputs, mindsets, and activities. In fact, I learn a lot from my fellow CxOs on a daily basis. I have been reading books and blogs of many CTOs (Chief Technology Officer) and now I am here. I hope this medium will lead to the development of the design industry.
Activity
My job titles are Executive Officer CDO as a management member and General Manager of Design Division as the head of design organization. I will write about what I have been consciously continuing to do since I was the general manager, and what I have become more conscious of as CDO.
Our company has adopted a company-wide headquarters system.
First of all, as the General Manager of the Design Division, I set the goals and budget at the beginning of the term.
Based on the management strategy and the mid-term management plan, I consider the strategy of the design organization (in which field to fight) while looking into the future of the activities of the design organization.
Set the goals of the design organization, and establish what tactics (People, Goods, Money) will be used to achieve them.
Next, think about how to measure the progress of the tactic with qualitative/quantitative indicators. What happens when good progress is being made or when things go wrong? And think about how to correct course when things go wrong (PLAN B). As we move back and forth between these two, we increase our resolution, and at the same time, we build an annual budget for the organization.
Then, look at the assembled budget from the perspective of the person making the investment. Gather the rationale for the budget amount and the materials to persuade the organization to invest. Finally, the organization’s intentions are clear and convincing, and the probability of achieving them is high. Then, we will get better feedback from management to make it a solid implementation plan.
The budget is approved and a new term begins. The entire management team commits to the project. The status of the commitment is monitored and reported. Make the activities of the design organization visible. Create a system to keep the organization communicating.
Since becoming CDO, I have become more aware of the following
- catching up with the management agenda
The speed of management decision-making is fast, too fast. I can barely keep up with the speed. I cannot give feedback to boat members with my design expertise. We are halfway there and will continue to be diligent. - expanding activities where design goes to get involved earlier
The information we can acquire is expanding and the areas of expertise we have no knowledge of are expanding. We are impatient. But we will turn it into strength. Nothing is ever done in a hurry.
If I close, the design organization will close too. I cling desperately. I will get involved. - what kind of information sharing and insights around the design industry would be good input for board members?
This is difficult. I think, “They won’t be interested in this information,” or “If I start with background information, it will be very long. Then, the more I think, the less I have to share. I want to be fearless, but it is very difficult. - What kind of activities in a design organization can be shared to generate better feedback?
If we keep saying “design is hard to quantify,” we won’t move forward. We will report on quantitative indicators. There will be more qualitative indicators. Board members will understand that. Board members also hope to discover more possibilities for design!
By the way, designers are pleased with the feedback from board members. They seem to be more motivated. - better relationships with board members
Relationships have not been something I have thought much about in the past. A colleague told me that when relationships decrease and the amount of information distributed decreases, the quality of feedback and questions decreases. I see!
We live in a world where problems are complex and highly abstract. We need to have a relationship where we can get good feedback. - Are we making efforts to make design accessible to everyone?
I continue to hope that design will transcend job functions and become something that belongs to all employees. Measures to increase engagement will increase opportunities for design to intervene. We produced a short video on the theme of manufacturing culture, and the number of participants in the CDO channel on Slack increased by 160%. We are just beginning to take steady action. - -
- Preparation to increase the resolution of the design organization’s mid-term plan (what future to envision, not just a hand-me-down future).
work in progress
Rewarding
Being at the decision-making stage of the company and being able to influence decisions. As a representative of designers (designers in our company), I am at the forefront of the field where design is active and have the mission to expand it. The ability to share the real voices of board members with the management team of the design organization, and to feel a direct connection between management and the design organization.
Standing in a place where there are no precedents and where the right answers are being created.
What I think
I feel that my voice is reaching people inside and outside the company a little more easily than before. I feel that the direction of the wind is beginning to change. It’s only for a little.
The number of people working with me is increasing. As the number of people working together increases, the quantity and quality of work increases. Appropriate feedback is gathered. We can consult with each other, so we can make things better. We can have more objectivity.
These are, once again, the reasons why this is a design organization of a company that is receiving constant attention in the industry. It is also because of the DesRel (Designer Relations) and public relations departments that expand the activities of design organizations. There are opportunities every now and then to respect that the present exists on top of the history and environment.
I am not doing this alone. Whenever I am interviewed, I keep saying, “It is done by the Deign div-management team, it is done by the management team. One person cannot achieve this scale and speed. Without the insight and input from the team, management ideas do not make great leaps forward and do not have a clear target. Every day, I remind myself not to make the mistake of thinking that I am the only one who can do this.
When I talk to people from outside the company, they often say to me, “We tried to do something like your company…” It’s natural, but it’s hard to do something original and special. It is not that we are doing something original or special, but rather that it is not easy to do something steady and to continue doing something steady.
